金曜日はキライ。


わたしにどれだけ浮いた話がないのか実感して情けなくなってくる。でも、男の子って特に苦手なんだ。すぐに怒るし、意地悪だし、見下してくるから。…って日葵に言うと「それは小学生までだよ…!」って言われちゃうんだけども。


うん、本当はわかってるんだ。わたしはもっと人と関わろうとしないといけない。それこそ無理矢理にでも。このままじゃ、絶対にロクな大人になれない。

日葵だって心配してる。だからこうして必要以上に喜んでいるんだ、自分のことみたいに。


「ねね、その男子のことさあ、探そうよ!」

「ええ、いやだ」

「もう。じゃ、今日わたしの友達と遊ばない?」

「…あの、塾が一緒って話してくれた子とその友達の…日葵の彼氏?」

「そうそう!特に清雨!あいつ、ぜったい茉幌と気が合うと思うの!」


そんなこと言ったって、なあ。男の子だし、その人。

じっとりとした視線を向けると、そっくりそのまま返された。


「なあに、茉幌は、わたしのことが信じられないってわけー?」


そうきたか…。まったく、ずるいなあ。わたしの扱い方を知ってるからって、かしこく使って来るんだもん。


「そんなことないよ。日葵のことが一番信じられる」

「でっしょー?じゃあ、今日こそ会ってね!」

「…遊ぶのはナシ。これが100歩譲って条件」

「よおしわかった、紹介だけね」


提示した条件を聞いてもなお、日葵は満足げな顔をした。

本当は遊びたいだろうなあ。それでも無理強いたりはしない日葵だからこそわたしは今まで安心して一緒にいられたんだけど、でも、本当は自分のことを優先しない日葵に、申し訳ない気持ちでいっぱいなんだ。

ごめんね、いつも、いつも、きっと我慢させているよね。


せめてがんばって仲良くなろう。そう思っていた。まさか紹介されるのがあの傘の男の子だってことも知らずに。

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