金曜日はキライ。


なにをしたいのか聞く前に100円ショップに連れてかれて買い物カゴを持たされた。なんなんだいったい。なにやら飾り付けグッズ?


「逆サプライズ」


ぼそっとつぶやくように言った。わたしが疑問いっぱいの顔で見たからだと思う。


「パーティーしてあげるの?」

「うん。世話になったから」


なんてかわいい子なの…!涙が出そう。


よしよししようと伸ばしかけた手を止めた。いや、これはさすがにまずいか。ふつうに話してくれるから調子にのりそうだった。

手を引っ込めると同時に黒い髪の頭が傾けられた。



「え、」

「ん」



な…なにこの子。本当に、なにこの子。

かわいすぎてしんでしまいそう。なんて思いながらけっきょくもう一度手を伸ばしてその頭を撫でた。やわらかい感触とくすぐったそうな表情に、やっぱり泣きそうになった。


「茉幌の手は、ちいせえな」


買い物カゴを持たせといて何を言うか。


「ちからはあるよ!」

「ぶはっ」


ねえ弓くん。きみといるのはやっぱり楽しくて、かけがえのない時間だよ。

それだけは本当だよ。


「なあ茉幌。俺っておまえから見たらどんな感じなの?」


100円ショップからお店までの道で、ふとそんな質問を受けた。びっくりした。


「ええっ。本人に言うってけっこう難関!」

「俺はおまえのこと頑固で面倒だけど面白いやつだなって感じ。俺とは正反対」


ええ…頑固かなあ。弓くんもけっこうおもしろいひとだと思うけどなあ。りくちゃんのことからかってるところ見ると笑っちゃうもん。それにわたしはあまりおもしろくないと思う。

けど、そんなふうに思ってもらってたんだ。


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