金曜日はキライ。
どきどきしながら様子を見る。
中身が出てきた。なにこれ、というかのように首を傾げたの。
「あのね、それ、アメトリンっていう石で弓くんの誕生日石なんだけど、ブレスレットとかは料理の邪魔になっちゃうしピアスもしてないから、ネックレスにしたんだけどね、そんなに派手なものじゃないから男の人もかっこよくつけられるって店員さんが教えてくれて、だからそれにしたんだけど…」
「雨粒閉じ込めたみたいだな、これ」
太陽にかざすようにしてその石を見上げる横顔。
白い肌にむらさきが映っていてきれいだった。
「わたしもそう思う。弓くんにぴったりだなあって」
「茉幌みたいで、いいな。大事にするよ」
わたしみたいって…。雨っぽいかなあ。
そのまま首を通してくれた。つけてくれた。むらさきが似合う、弓くん。
「弓くん」
引き留めたい気持ちをぐっとこらえる。
「…がんばってね」
「うん。いつか、俺が平気になったら呼ぶから、食いにきて」
やっぱり無理して話してくれてたんだね。
「待ってるね」
「おー」
「弓くん、わたしもがんばるよ」
誠実になれるように。
「弓くんがいなくても、大丈夫」
「そ。なら安心。子守から解放されるな」
「子守ってなによう…!」
大事にしたいからこそ、切り捨てることを決意した。それを追わずにすむように、がんばってみるからね。
いつかまた会えたら「がんばったな」って言ってもらえるようになるからね。