金曜日はキライ。


幸せになってほしいなあって、思う人がいる。

その人の幸せってなんなんだろう。ってわたしが考えたって意味ないかもしれないけど、けっこう必死に考えていた。そうすれば、近いようで果てしない彼に少しでも近づけるような気がしたんだ。


それって自己満足かもしれないけど、だけど、考えたからこそちょっとしたことを気づいてもらえたのかなって思う。「いつもうれしいよ」って言ってくれたの、とてもうれしかった。



「和央先生、今日はなんですか…」


放課後に入るタイミングで校内放送で呼び出しをされた。犯人はのんきに職員室で和菓子を食べていて文句を言う気にもなれない。もともと言う勇気もないんだけどさ。

和央先生は手をひらひらさせながら呼んでくる。何かあるなら放送なんかしないでふつうに、教室まで着てくれたらいいと思うの。帰りのホームルームがない日だからってひどいよ。


「これ、補習組の机に置いといて」


うわあ、簡単なことだ。


「先生はテストのマルつけでいそがしい」

「そうですか。かしこまりました」

「イイコだなあ、露木は。成績も優秀。清雨も見習ってほしいね」

「常盤くんって、本当はけっこうまじめだと思います」


だから真っ直ぐじゃいられない。


「そうなんだよなあ。ちゃんとテストの用紙と向き合えば解けるのにな」


テスト用紙ともそうだけど、他のこともたぶんそう。


「じゃ、よろしくよろしく」


人使いが荒いなあ。やっぱり来年は和央先生のクラスじゃないようにって願っとこう。

でも常盤くんとは同じクラスになりたいなあ。


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