金曜日はキライ。


補習組へのプリントの一番上にある名前を見てちょっと笑ってしまった。常盤くんって勉強すればできると思うんだけど、遊ぶのでいそがしいのかな。今日もクラスメイトとはしゃぎながら教室を出て行った。


明日は土曜日。学校がない。だからもうちょっとだけ常盤くんの姿を眺めていたかったんだけど彼にとってはそんなのお構いなしだ。

でも今日の退室は早すぎたよ。かなしかった。まあわたしもすぐに和央先生に呼ばれたんだけどさ。


常盤くんと最近話してない。というか、元の距離に戻ったみたいな感じ。


……抱きしめたくせに。なんて思いながらあの窓の横を通り過ぎる。

もうすっかり冬の肌寒い風が校内に入り込んでくるような季節になった。


弓くんは元気かなあ。


プリントの山は、よく見ればホチキス留めが必要そうで、やっぱり文句を言うべきだったと思った。失敗した。言えないんだけどさ。

自分の席に座ってホチキスを取り出す。

誰もいない教室。日葵も今日は千昂くんとデートだし、志保梨ちゃんはバイトらしい。


そうだ、志保梨ちゃんは片想い中の彼と最近いい感じらしくて、今度デートでわたしのバイト先に食べに来てくれることになったんだ。すっごくうれしい!早く付き合ってほしい。

そんな恋の話を聞くとこっちまでどきどきしてきちゃう。志保梨ちゃんがかわいくって、思わず抱きしめたくなって抱きしめちゃうと抱きしめ返してきて、なんだかうずうずしてくる。お願いだから早く付き合ってほしい。

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