金曜日はキライ。


浮かれていた数秒前まで自分を呪いたくなる。ばかみたいだ。笑っちゃうよね。

常盤くんとわたしの間には、常に、もう1人存在してる。わたしの大事な人。ここにいてもいなくても、存在する。


「…日葵も、中学の時常盤くんのことよく話してたよ」


そう言ったあと、すぐにまた後悔した。


「うわ、あいつ絶対悪口しか言ってないだろ」

「うーん、たしかに「勉強のジャマばっかしてくる」って言ってたかなあ」

「あいつ勉強できないのおれのせいにしてくるんだよな」


仲の良さがわかる呼び方。

中学の時の話しなんてしなければよかった。


「常盤くんと千昂くんはいつから仲良しなの?」


話題を変えようにもうまくできない。わたしたちの間には、日葵と千昂くんしか共通がない。


「小2の時体験で入った野球チームに千昂もいたんだよ。同じ時期に入って、クラスも同じだったから話すようになって」

「そうなんだ」

「駒井と露木は幼稚園から一緒なんだよな」

「…うん」


わたしが教えるより先に、わたしのことを知ってる。さっきまでそのことがうれしかったのに今は切ない。



──── キーンコーン…


「…あ」

「あ、下校時刻」


この学校は夜間は定時制の生徒が来るから、部活をしてる生徒以外この鐘は守らなきゃいけない決まりになってる。

常盤くんはちょっと笑いながら「早かったね、時間」と言った。


「もう少し話したかったんだけどな。残念」


それは…わたしと…?


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