金曜日はキライ。


スコアを見ると4連続ストライクの成績。ちょっと負けてるし、こっちが先行だからもうここからは全部ストライクじゃないと勝てないかも。


「りくちゃん、アイス持ってて」

「全部食べちゃおー」


のんきな声が聴こえてきたけど、集中したくてシャットダウン。

弓くんもわたしも、こういう勝負事ってけっこう本気になっちゃう。でも、こうやって張り合えるってすごく楽しかったりするんだ。

オレンジのボールを持って助走をつける。

目指すはまっすぐヘッドピンを捉えて───



「やったーまほちゃん絶好調!!」


振り向くと拍手をしながら飛び跳ねるりくちゃんの姿があった。ああいうのを見ると、うまくできてよかったなあって思う。

あ、アイスが不機嫌そうな顔をした弓くんの手の中にある。


「茉幌、これ預けるやつもっと考えろよ」

「あはは、りくちゃんが食べようとしたの阻止してくれたんだね」

「…おまえに買ったんだよ」


そんなふてくされた顔して、かわいいことを言う。

わたしの返事を待たないままアイスだけを渡して、ボーリングが得意じゃない祥太郎くんのことを茶化しに行ってしまった。


「なにあのかわいい子…!!あんなおとうとが欲しい…っ」

「りくちゃん、わたしもとてもそう思ったよ」


弓くんに聞こえないようにこっそり並べられた感激の言葉に同感する。

1つしか変わらないし外見も中身も大人びてると思う。でもたまに見えてくる年下らしいところが、年上心をくすぐるっていうか。

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