金曜日はキライ。
食べ物のうらみはこわいんですよーだ。
…でもそれなのに断れないまま笑顔で先生の頼み事を聞く、まるで優等生のイイコチャンになる。それはもう、みんなが噂するとおりに。
本当は、約束がある時くらいは断りたい。それができないわたしは、みんなが作った“イメージ”を、作らせた張本人で。
だから今さら崩すこともできないままでいる。
「あ! ほろちゃんほろちゃん!」
教室に戻ると、クラスメイトの栗山 志保梨ちゃんに呼び止められた。
「ごめん、わたし掃除当番なんだけどこれからとっても大切な用事があるから代わってもらえないかな!? 本当にごめんっ」
うう。やっぱりわたしって、よく頼み事をされる。
嫌じゃない。だけど時々さみしくなる。
だって、頼み事がなければ志保梨ちゃんがわたしに話し掛けることはなかったもの。
…なんて、むかしっからのことを考えていたって無駄だよね。
今日は先生に呼び出された時にすでに親友との約束は解消してある。教室にいないからきっとわたしの言葉どおり先に帰ったんだと思う。
「うん、いいよ、わたし今日は用事なくなったから」
「ありがとう! ほろちゃんって本当に優しいね。ほろちゃんが掃除当番の時はわたしが代わりにやるからね」
「ありがとう。じゃあ、また明日ね」
ありがとうってもう一度お礼を言う志保梨ちゃんに手を振ると、小走りで帰っていった。