金曜日はキライ。
こういう空気にされるとどうしたらいいのかわかんなくなるし、弓くんだってきっと迷惑だと思うんだ。
「うだうだめんどくせえヤツ」
「ぬ…」
たしかにそうだ。送るって言ってくれてるのに何謙遜しちゃってるんだって、こんな言い合いしてる時間が無駄だって弓くんは思ってるよね。わたしもそう思うもん。
でもさあ。これじゃあ、勘違いされちゃうよ。祥太郎くんはりくちゃんと帰りたいだけみたいだけど。
「まほちゃん、送ってもらえばいいじゃないですか」
祥太郎くんにそう言われて、渋々頷く。
「最初からそうしろよめんどくせえ」
めんどくさいって、何回言うのよ。なによう。
わたしだっていろいろ考えてるんだから!と、じっとりした目で見ると、ふ、と目を細めて笑われた。
息をのむ。めんどくせえ何て言いながら、滅多に笑ってくれないのにそんな顔されたら文句も言えなくなるよ。
「じゃあまほちゃん、次会えるのは明後日かな」
「うん、明後日ね」
「ばいばーい」
祥太郎くんと帰ってくりくちゃんに手を振る。
うーん、やっぱり好きっぽいなあ。でもりくちゃんって恋愛の話しはなぜか避けるからどうだろう。
「おまえさあ、もっと気遣えよ」
弓くんが先に歩き出す。いそいで追いかけないと追いつけなくなっちゃう。足長いし。
ちょっと駆け足で追い越すまで歩いてそっと振り向く。
「祥太郎くん、りくちゃんのこと好きなんだね」
「何がいいのかサッパリだけどな」
「うそだ、弓くん、けっこうりくちゃんのこと好きじゃない」
「いや、祥太郎のとはちがうだろ」
そっか、好きだけど恋じゃないってことか。