金曜日はキライ。


まだ、身体中が、どくんどくんしてる。

だってまさか、名前を呼ばれて、話し掛けてもらえるなんて。

それなのにうまく返事ができなかった自分がとてもかなしい。


心配そうに見てくる3人に「あの、一人でもできるから」と首を横に振る。


「日葵、帰ってなかったの?」

「茉幌が和央との話おわるまで待ってようって思って千昂のところで暇つぶししてたんだよー。それより、どうせ今日の当番の子に押し付けられたのを断れなかったんでしょ」

「あ、でも、交換だよ! わたしが当番の時に代わってくれるって言ってた」

「茉幌たち確か来月だよね。それ期待できなくない? 誰に頼まれたの?」


小学生の時からわたしのことを知っている日葵のジットリとした視線を感じる。

日葵はいつも、嫌なことや困ることは断らないとダメだよって言ってくれるんだけど、わたしはなかなか言えないまま。たまに困るときもあるけど、でも嫌なわけじゃ、ないんだ。


「志保梨ちゃん、本当にそう言ってたんだよ」

「志保梨か。あ! そういえば志保梨、今日は好きな人とバイトがかぶるから早く行きたいんだって言ってたかも」



そうなんだ、志保梨ちゃんはバイト先に好きな人がいるんだね。てっきり彼氏がいるのかと思ってた。だってぺかぺかに明るくてかわいいもの。


そっかそっか、好きな人には早く会いたいし、できるだけ長くいたいもんね。その気持ちはとてもよくわかるから、志保梨ちゃんにガンバレって心のなかからエールをおくった。

うん、断らなくてよかった。

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