金曜日はキライ。


「他の当番は勝手に帰ったのか…。まあもういいや。よおし、早く終わらせてクレープいこう、クレープ!」

「でも千昂くんと帰らなくていいの?」

「いーのいーの、千昂のとこ行ったのは茉幌を待つ間の暇つぶしだったし。茉幌と約束してたし、ツナハムのクレープ楽しみにしてたもん」


せっかくのクレープをツナハムチョイスなところはむかしからの不思議。


いいのかなあ、って思って千昂くんを見ると、にっこり笑って手をヒラヒラさせている。行ってきなって。本当に千昂くんは人がいい。



「それに千昂も今日は清雨とデートらしいよ」

「あ、そうなんだ。仲良しだね」

「うちらには敵わないけどね〜」


そう言って得意げに笑いながら肩に腕を回してくる日葵。



伸びかけのセミロングは綺麗に巻かれてる。制服の着こなし方も、スクールバッグについたテディベアのキーホルダーも、携帯のケースのピンクも女の子らしいのに、とてもサバサバした子。

日葵の腕にぶら下がる12月24日の誕生石ブレスレット。わたしにもラブラドライトの同じものがついてる。



「おれらも負けませーん。なー千昂」


常盤くんの声がして、ぼんやりとブレスレットを見つめていたわたしははっとした。


「面倒だから張り合うなよ」

「いーじゃん。なんならおれらもクレープ行くか?」


にこにこ笑ってる。日葵の真似をして肩を組もうとする常盤くんを、本気で嫌そうな顔で避ける、普段は人がいい千昂くんのクールドライな一面。


今日も仲良しだなあ。

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