金曜日はキライ。
中学の時からふたりは仲良しなんだって前に日葵から聞いた。
そして……
「はははっ、清雨ってば本気で嫌がられてる!千昂もそんな嫌がることないのにさ、男子って本当に素直じゃないよね」
日葵は千昂くんと高1の夏休みから付き合ってるけど、常盤くんとも中3の春から通ってた塾で知り合ってるから、自然と3人は仲良しなの。
わたしは未だにその中にあまり入れない。…特に、こんなにいつも明るい常盤くんと、あまり話せないんだ。
さっきもせっかく話せるきっかけがあったのに、やすやす逃しちゃって。
そんな自分はやっぱり好きになれない。
「茉幌?」
急に黙ったわたしを覗き込んだ、アーモンド型の綺麗な瞳。
この瞳を見るたびに日葵には敵わないなって思う。
勝ちたいなんて思ってないのに、そう思わされる。
「あ、ううん。素直じゃないね、本当に」
そう言うと常盤くんは「露木にまで言われてるよ〜」って千昂くんをからかいはじめた。いつ見ても仲良しな姿に、ちょっとだけ切なくなる。
本当に、本当に、素直じゃない。
…でも、素直になれないだけなんだよね、きっと。
肩を組もうとする常盤くんを千昂くんが避けたり、背中を叩こうとしてくる常盤くんのおでこを千昂くんが先にカウンターしたり。わちゃわちゃと騒ぐふたりを見て、さっぱり笑う日葵と、なんだか見ていられなくて、集めたホコリをちりとりで取ることにしたわたし。
自分はなにもできないくせに、いっちょまえに胸はちくちくするなんて嫌な女だ。