Don't let me go, Prince!
番外編 再会


※本編より一年ほど前になります。


「うーん、気持ちいい風。今日は絶好のお散歩日和ね。」

 散歩の好きな私は、仕事が休みの日はたまにこうして散歩したりする。近所の公園や河川敷をブラブラするだけだけど、これが結構ストレス解消になるのよね。
 今日も機嫌よく鼻歌を口遊みながらのんびり歩く。
 ひとりでもぜんぜんたのしいんだけど、時々誰かと一緒に歩けたらなあって思ったりすることもある。

 私には、今恋人と呼べる男性はいないのよね……

 別に恋愛経験がないわけじゃないの。ただ私が男の人とお付き合いしても長続きしないことが多い。

『渚は、気が強すぎる。』

 お付き合いした男性はみんなそう言って私から離れて行った。私も自分自身がとても気が強い事は分かってる。
 言いたいことはすぐに言ってしまうし、何なら手だって出てしまう。可愛げなんてこれっぽっちもないの。
 だから別れがつらくても、去っていく男性ばかりを責めることはできなかった。

「可愛いって難しいなあ……」

 ぼんやりとそんな事を考えながら歩いていると、近所の子が木に登って遊んでいるのを見つけた。
 ちょっと高くまで登りすぎてるから、危ないわね。注意して降りてもらおう。

 そう思って近寄ろうとした瞬間、男の子は枝から足を踏み外しそのまま地面に落ちてしまった。
 私は急いで倒れた男の子の傍へ。

「ねえ、大丈夫?どこか痛い所はない?」

「あ……お姉ちゃん。俺、足首が……痛い……」

 男の子は足首を抑えて辛そうな顔をしている。落ちた時に捻ったのだろうか?どちらにせよ、このまま放っておくわけにはいかない。

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