Don't let me go, Prince!



 そういえば私は弥生さんからも高校を聞かれたのだっけ?そして新庄さんが私の高校を聞いてからのあの反応。2人だけ何かを分かりあっているようだけれど。

「弥生さん、さっき新城さんが言っていた「なるほど」って……?」

 気になって、弥生さんに直接聞いてみることにする。新城さんには笑いながら躱されるような気がしたから。

「渚さんが気にすることはありませんよ。新城は昔から訳の分からない男なんですから。」

 そう言って弥生さんはじっと見つめる私から目をそらしてしまった。これって本当は何か理由がありますって感じじゃない?
 気にはなるけれど、ここで料理が運ばれてきたのでいったん考える事は止めにした。

 新城さんの作る料理はどれもとても綺麗で美味しくて……私は一人ではしゃいでしまった。弥生さんはそんな私の様子を何も言わずジッと見ている。

「あの……私、うるさかったですよね?」

「いいえ、素直な反応を見せてくれるあなたを見ているとこちらも嬉しくなります。」

 弥生さんは無表情なのに、そんな風に見られてたのかと思うとちょっと恥ずかしい。思わずコーヒーのカップで顔を隠してみたり。
 そうして、ちらりと上目遣いで弥生さんを見てみると……

「渚さんは意外と子供っぽい事をするんですね?」

 まだしっかりと彼には見られてて、私は顔が熱くなるのを感じた。そんな風にジッと見られ続けると、こっちが勘違いしそうになるでしょう?

「意外と、で悪かったわね。こんな風にしてるのは弥生さんなのに!」

「いいえ、可愛いらしいと思いますよ。私が……渚さんに何かしましたか?」

 もう!もしかして弥生さんって天然だったりするのかしら?それともたくさんの女性と付き合ってきていて、こういうセリフには慣れていたりするの?


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