Don't let me go, Prince!
「シュン君は何度も貴女の事を話してくれました。かっこいいお姉ちゃんに助けてもらったんだ、と。」
「そうなんですか。ちょっとテレちゃいますね……」
きっとシュン君にとってはピンチを助けてくれたお姉ちゃんとしてカッコ良く見えたのでしょうね。本当の私はそんなにカッコ良くはないわ、少しおせっかいなだけ。
「渚さんの積極的に人を助けに行こうとするところ、私もすごく素敵だと思いますよ。」
弥生さんにまで褒められてしまい、私は困ってしまう。目の前に困っている人がいたから手を差し伸べただけ。そんな特別な事はしていないのに。
「たまたまですよ、本当に……。」
「それでも誰かのために一生懸命になる渚さんは、彼らにとってヒーローなんです。」
弥生さんの言葉にまたまたテレてしまい、今度は両手で頬を押さえる。褒められて嫌なわけじゃないけれど、やっぱり恥ずかしいのよ。
「そう、なのかしらね。ところで、今日はどこに向かっているの?」
「新城が勧めてくれたイタリアンのお店です。彼は色んな店の味を調べていますから、美味しいお店だと思いますよ。」
そう言って駐車場に車を止めると、いつものように助手席のドアを開けてくれる。
「なんだかお姫様扱いされているみたい……」
「……いいんです。私にとって渚さんは、お姫様のような存在ですから。」
ハッキリとそう言われて、私は少しだけ戸惑う。弥生さんにとって私がお姫様みたいな存在ってどういうこと?
勝手に期待してしまいそうな気持を抑えて弥生さんを見れば、彼はいつもと変わらない無表情なの。
ねえ、もっとわかりやすく教えて欲しい。貴方の本音を……私は知りたい。