Don't let me go, Prince!
その後は胸がドキドキして、美味しいはずの料理の味もよく分からないくらいだった。私は派手な見た目から恋愛経験豊富そうに思われがちだが、実はそうでもなくて。
「そろそろ行きましょうか?」
「はい。すごく美味しかったです、連れてきてくれてありがとう。」
お礼を言うと弥生さんは小さく頷いて歩きだした。私はその後ろを黙ってついていく。
いつか彼の隣を歩けるような日が来ればいいのにな……そんな乙女な考えは私には似合わないかもしれないけれど。
車に乗り込むと、弥生さんはスマホを見ながらカーナビに住所を入力する。弥生さんも初めていく場所だったりするのかしら?
「今からだと少し急いだほうがいいですね。」
腕時計で時間を確認すると、弥生さんはそう言って車を発進させる。いったいどこに向かっているのかしら?
しばらく走っていると、キラキラと光っている場所が見える。丸くて大きい……?
「弥生さん、あれは何でしょうか?」
「観覧車ですよ、あの遊園地が目的地です。」
私は弥生さんの言葉に目をぱちくりさせる。そう言えばこのあたりに遊園地があるんだっけ……?昼間じゃないから気付かなかったわ。
「遊園地に、行くんですか?……弥生さんが?」
失礼だとは思うけれど、つい言葉にしてしまった。だって弥生さんと遊園地に来ることになるなんて全然想像出来なかったのだもの。
「渚さんは嫌いですか?遊園地。」
「好き、ですけど。」
そっか、弥生さんは私が喜ぶように遊園地を選んだんだわ。その事に胸が熱くなる。