Don't let me go, Prince!
「全部含めて私……そんな事言ってくれたの、弥生さんが初めてです。」
今まで私がそんな事を言ったらみんな似合わないと笑ってたのに、弥生さんは真面目に聞いて……そして、そんな私を認めてくれる。
こんな人、初めてだわ……
「……乗りますか?」
「え?」
「私と乗ってみますか?メリーゴーランド。」
このお誘いって、もしかして……そうなの?
弥生さんが私の王子様になってくれるっていう意味にとってもいいの?
「えっと、あの……なんていうか……」
弥生さんの言葉は勿論嬉しいけれど、いきなり過ぎて頭がパニックになってしまいちゃんと答える事が出来ない。
「慌てて返事しなくていいですよ……もし渚さんが乗りたくなったら言ってくださいね?」
弥生さんは私がうまく返事が出来ない事を怒ったりもしない。いつもの穏やかな声で私に選択権をくれる。
「あっちを見に行ってみましょうか?渚さんはどういうのが好きですか?」
「あ、あれとか……?」
私は前後に大きく揺れる海賊船を指さしてみた。弥生さんがどういう反応をするのか見たかったから。
「……バイキング、ですね。乗りましょうか?」
弥生さんの返事は遅かった。なんとなくそんな感じかなーって思っていたんだけど、多分弥生さんはあまり絶叫マシンは好きではなさそう。
「弥生さん、無理して乗らなくてもいいのよ?」
無表情で絶叫マシンに乗ってそうな弥生さんを見れないのは少し残念だけれど。