Don't let me go, Prince!
番外編 その後
※本編終了後のお話しです。
「やーっと荷物が全部片付いたわ。やっぱり二人でやれば何でも出来るものね。」
弥生さんが新しく借りたマンションで、私達は今日から二人きりの新しい生活を送ることになる。
私と弥生さんは二人で、今まで屋敷から運んできた荷物の整理をしていたの。
「渚はあの屋敷を出て生き生きしていますね。今まで窮屈な思いをさせてすみませんでした。」
「違うわ、私がこんなに元気でいられるのは弥生さんが傍にいてくれるようになったからよ。確かにあの屋敷での生活は少し辛いものだったけれど、今こうしていられるからいいの。」
自分の存在意義すら分からなかった数か月前、だけど今ははっきりと弥生さんに必要とされているって分かる。それだけで、どれだけ私が頑張れると思う?
私は散らかっている段ボールをひとつずつ潰して紐でまとめてから弥生さんへと渡す。それを車まで運ぶのは彼の役目。
普段家の事はしていなかった弥生さんだけど、これから家政婦のいない生活になるので積極的に手伝ってくれている。
「そういう前向きな所が渚らしいです。私も今こうしていられて幸せですよ。」
「そう……なら良かったわ。」
素直な弥生さんの言葉に私の方が照れてしまう。2人こうして気持ちが通じ合ってから、弥生さんは素直な想いを言葉にして伝えてくれるようになった。
彼の甘いセリフにまだ慣れない私は、いちいち顔を赤くしてしまうのだけれど。
「渚、少し充電させてください。」
そう言って私の背中からそっと抱きしめてくる弥生さん。彼が抱きしめてくれるのは好きだけれど――――
「駄目、今日は引っ越しで凄く汗をかいたから。せめてシャワーを先に浴びさせて?」
そう言うと残念そうだけれど、ちゃんと言う事をきいてくれる弥生さんが可愛いくてしょうがないの。