Don't let me go, Prince!



「じゃあ、2人で一緒に入りましょう。今は渚から離れたくないんです。」

「だ、駄目!弥生さん、一緒にお風呂に入ると意地悪だから……!」

 前に一度弥生さんとお風呂に入ったことを思い出して、みるみる顔に熱が集まるのを感じる。あんな恥ずかしいこと二度とごめんだわ!

「……どうしても、駄目ですか?」

 そう言って私の手を取って、手のひらを自分の頬に擦り寄せるの。狡いわ、そういう事されたら私が断れなくなるって分かってるくせに!
 弥生さんに甘えたような目で見られて、私の中で決めたことがぐらぐら揺れて壊れそうになってしまうけれど……

「《《今日は》》駄目、まだまだ他にする事も残ってるから。」

 一緒にお風呂に入ってしまったら、きっと今日やろうと思ったことが全部できなくなってしまうもの。
 彼の素肌に触れてしまったら、私だって理性的でいられる自信がないから。

「今日は渚と甘い時間が過ごせるのだと楽しみにしていたのですが……」

「それは、私だってそうしたいけれど、だけど……」

 私だって弥生さんと甘く過ごす時間は欲しいわよ?だけど、そうすると弥生さんはお願いしても手加減してくれなくなっちゃうから。
 彼と過ごす夜を思い出してしまい、ますます顔が赤くなる。弥生さんと目を合わせる事が出来ない。

「渚は意地悪ですね……貴女にそんな顔をされると、余計に我慢出来なくなってしまうのですが。」

「も、もう!いいから弥生さんは先にシャワーを浴びてきて!」

 私はバスタオルを弥生さんに押し付ける。弥生さんはそれを受け取り、少し考えてから私に言った。

「……分かりました、今回は渚の言う事を聞きます。次は渚が私の言う事を聞く番ですからね?」


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