Don't let me go, Prince!
どうやら私には理解できない事を2人だけで分かりあっているみたい。
なんだかんだ言いながらも仲の良さそうな二人に仲間外れにされた気がして、ちょっとだけ拗ねたくなっちゃうわね。
「全く。昔も今も面白いほど渚さんに夢中なんだな、弥生は。」
「新城だって人の事ばかりは言えないでしょう?学生時代から新城の嫉妬深さは有名でしたからね。」
二人の面白い会話の内容を、私は興味津々で聞いてしまう。
この緩くてチャラい感じの新城さんが嫉妬深さで有名なんて……すごく面白そうじゃない?
「弥生、その話は……渚さん、そんなに期待に満ちた瞳で見ないでくれる?」
私がよほど聞きたそうな顔をしていたのか、新城さんは額に手を当てて困った顔をしてみせる。そんな顔をされると余計に気になっちゃうんですけど……
「そんなことより、今日は弥生から俺に話したいことがあるって聞いていたんだけど?」
そう言ってにやにやと笑う新城さんを一睨みした後、弥生さんは軽く咳払いをして私の腰に手を回し抱き寄せる。
「新城。彼女が《《本当の意味》》で私の妻になってくれた渚です。私は一生、彼女を愛し大切にしたいと思っています。」
「……弥生さん。」
予想しなかった弥生さんの愛の言葉に、私の頬が熱くなる。
本当にこの人は結婚したばかりの彼と同一人物なのかと疑いたくなるほど素直な気持ちを私や新城さんに話してくれる。
「はいはい、もう二人が仲がいいのはよくわかったからさ。いいかげん二人の甘々な雰囲気はもうお腹いっぱいなんだよね。」
そう言ってさっさと奥の席へと歩いて行ってしまった新城さん。
……でも、気のせいかしら?彼が少しだけ鼻声だった気がするのは。そう思って弥生さんを見ると、弥生さんも気づいていたみたいで。やっぱりこの二人の関係は特別なんだなって思ったの。