Don't let me go, Prince!
「新城さんは弥生さんの幸せを自分の事のように喜んでくれる人なのね。私は二人の関係が少し羨ましいわ。」
弥生さんを見上げれば、ちょっとだけ微妙な顔をしてるの。ふふ、弥生さんのこんな顔を見られるのはきっと新城さんがいる時だけでしょうね。
「渚にそう言われると、なんだか身体がムズムズするような気がします。」
あら、照れているのかしらね?ちょっとだけ揶揄いたいような気持ちになったけれど、すぐに席で待っていた新城さんに呼ばれた。
私と弥生さんが席に座ると、新城さんはにっこりと笑ってキッチンへ。
次々と出てくる綺麗な創作料理を、弥生さんと二人で楽しむことが出来た。
料理に乳製品を使ったものが多かったのは、きっと新城さんも弥生さんの好物だと知っていて選んだのでしょうね。
「これは、渚ちゃんのためにだよ?」
私の言いたいことが分かったのか、新城さんがにっこり笑顔でデザートのお皿を私の前に置く。
色んなベリーが盛られた綺麗なタルト……
「私ベリーが大好きなの、ありがとう新城さん!」
「お礼は弥生に言ってね。妻に美味しいベリーのデザートを作って欲しい、って頼まれちゃったからねえ。」
「新城のその何でもすぐにバラしてしまうところ、私は本当に大嫌いです。」
どうやら弥生さんは私には隠しておきたかったようだけれど、弥生さんが私の好物を知っていて新城さんにデザートを頼んでくれていたことが本当に嬉しかった。
「弥生さん、新城さん……素敵なプレゼントをありがとう。」
そう言って微笑んでみせると、2人とも言い合いは止めて照れくさそうな顔をする。
短い時間だったけれど、私達は新城さんのレストランで楽しい時間を過ごすことが出来た。