Don't let me go, Prince!
私はテーブルに置いたままだったスマホを手に取って、メールを打ち始める。だってこんなに嬉しい事は私一人の胸にしまっておけないわ。
「渚、一体誰にメールを送っているのですか?」
「ふふ、馨と神無さんに。私は今こんなに幸せですって。」
スマホを抱きしめニッコリと微笑んで見せると、弥生さんは少し照れてしまったようで……
「馨さんは分かりますが、なぜ神無にまで……?」
弥生さんは神無さんと今もあまり連絡を取っていないのかしら?神無さんは私にはまめにメールをくれているんだけど、それも知らないみたいだし。
「あら、私と神無さんとメル友なのよ?あれからずっと神無さんは私の応援をしてくれているんだから、ちゃんと報告しないと。」
私の言葉に弥生さんは困ったような顔をして、私をそっと抱きしめてきた。
ふふふ、分かっているわ。弥生さんは神無さんにもヤキモチを妬いてしまうのよね?
「貴女は……神無ばかりとメールしないで下さいって、私にわざわざ言わせたいんですか?」
「そう言われるのも、悪くないかも……」
ついつい弥生さんの独占欲丸出しの言葉を噛み締めちゃうの。
それにしても何度も私は貴方だけのモノなんだって言っているのに……不安なのはお互い様なのね。
私の持っているスマホがピコンとメッセージの受信を知らせると、弥生さんはスマホを取り上げて自分のポケットへ。
「今日はもうメールは終わりにして、私の相手をしてください。」
弥生さんの可愛い言葉に、私は満足げに頷いて……ゆっくりとお互いの唇を合わせて抱きしめ合った。