Don't let me go, Prince!
そんな私達を今度は馨たちに笑われてしまって、私たち似た者カップルなのかもしれないわね。なんて思ってみたり。
その後仲良く弥生さんと吉無田君の作ってくれた夕食を食べて、まだ話したりないくらいだけどお開きの時間。
「それにしてもなぎ姉が幸せそうで良かったわ。弥生さんの前だとなぎ姉は別人のように女らしくなるのね?」
「なによ、それ。普段の私がまるで女っぽくないみたいじゃないの。」
妹に揶揄われ、やはり弥生さんと二人の私はそうなんだと実感する。彼の傍にいると少しだけ可愛い女性になれる気がするから。
「それにとても機嫌がいいし、何かまだ隠している良い事があるんでしょう?」
やはり血のつながった姉妹ね。黙っていたけれど、私が浮足立っている事は馨にもバレていたみたい。
「……実はね、弥生さんが新婚旅行をやり直そうって言ってくれて。計画も立ててくれているみたいなの。」
「弥生さんが?本当に……良かった。今度こそ、2人で選んだお土産を楽しみに待っているわね?」
そうね、前の時は私一人で寂しく選んだのだったわ。
私の今の幸せを自分の事のように喜んでくれる馨に感謝しながら、私達は二人を駅まで送っていき別れたのだった。
「賑やかな一日でしたね、吉無田さんも本の事に詳しくて話していて楽しかったですし。」
「そうね、こんな一日も悪くないと思うわ。今日はありがとう。」
弥生さんの隣を歩いて、彼の腕に自然に腕を絡ませることが出来る。
そんな今が本当に幸せだから、私はこの時これ以上は望んではいけない気がしていた。