Don't let me go, Prince!



 ◇◇◇◇◇◇◇◇


「今から新城さんのお店に?明日から旅行なのに……なにも、今日行かなくても。」

 仕事から帰ってきた弥生さんに「今から新城さんの所に行くので準備してください」と言われて驚く私。
 それはそうでしょ?だって私達は明日から新婚旅行のやり直しをする予定なんだもの。

「私も新城にその話をしたんです、そしたら必ず来いと。しかも店ではなく自宅の方に来るように言われまして……」

 話をしたら、呼び出されたという事なの?相変わらず新城さんの考えている事は全然分からないわ。

「分かったわ、急いで準備してくるから。帰ってきたら、弥生さんも明日の準備を手伝ってよね?」

「もちろんです。」

 弥生さんの返事を聞いて満足して、急いで着替えて準備をした。弥生さんと車に乗り込んで新城さんの所へ。

「新城さんの自宅ってどんな感じなのかしら?弥生さんは行ったことがあるの?」

「いえ、ですが新城は店に二階に住んでいると前から聞いています。」

 あのお店の二階なら、お洒落な感じなのかしらね?まだ弥生さんも知らない新城さんを知れると思うとワクワクしちゃうわね。

「楽しみね、弥生さん。」

「そうですか?何故だか私は今から既に頭が痛い様な気がしているのですが……」

 ふふふ、新城さんが関わると弥生さんからこんな面白い会話が聞けるところが好きなのよ。弥生さんに言ったら不機嫌になりそうだから、こっそり思っているだけだけれど。

「ねえ、お店の前で手を振っている女性は誰かしら?」

 新城さんのお店の入り口で、私たちに一生懸命手を振っている女性がいる。とても綺麗な人だけれど、彼女はいったい……?



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