Don't let me go, Prince!
「ああ、あの女性ですか?そう言えば渚はまだあったことが無かったですね。彼女は新城 ハナさん、新城の奥さんです。」
「奥さん!?新城さんって結婚していたの?」
まさかあの新城さんが妻帯者だったなんて、考えもしなかったの。
言われてみれば新城さんは弥生さんと同い年だし、結婚して子供がいたって全然おかしくないのだけれど。
「新城は大学を卒業してすぐに結婚しましたからね。学生時代から現在まで、それはもうハナさんにベタ惚れですよ。」
「……意外過ぎるわ。」
確かにハナさんは美人だけれど、あの新城さんがねえ……
私達はハナさんの案内してくれた場所に車を止めて降りると、すぐに彼女に挨拶をする。
近くで見るハナさんはとても綺麗で、新城さんが結婚を急いだ気持ちが少しわかったような気がした。
「ここから二階へ上がってくれる?インターフォンは押さないでね、拓海は二階のリビングにいるはずだから。私はこれからちょっと出るけれど、すぐに戻るわ。」
ハナさんに言われた通り、階段を上がると可愛い扉があり私達は中へ。そっとリビングのドアを開けると、そこには小さな赤ちゃんを抱いた新城さんが。
「あ、赤ちゃん?」
奥さんだけじゃなく、まさかの赤ちゃん登場にまた驚かされる。だって、私はさっき奥さんがいる事を知ったばかりだったのに。
「はは、渚さんは俺より赤ん坊の方が気になるのかな?弥生もよく来てくれたな。」
「新城、私は貴方たちに子供が出来たなんて一言も聞いていませんでしたが?」
赤ん坊を気にしてか静かに新城さんに近付いて、2人の赤子の様子を覗く弥生さん。少し戸惑っているのかしら、緊張しているようにも見えるわね。