Don't let me go, Prince!
「新城は私の職業を分かっていますか?私は小児科医ですよ、赤ん坊なら仕事場で毎日見ているし触っています。」
……確かに弥生さんの言う通りだわ。彼は仕事でずっと赤ちゃんや子供と触れ合っている。なのに、どうして新城さんはそんなに気にしてのかしら?
「弥生の中で仕事として触れている子供たちはまた違うだろ?その子たちは病気や怪我を治してやりたい存在だ。俺は仕事のお前じゃなく、プライベートの弥生の友人として子供を抱いて欲しいんだよ。」
そうなんだ……新城さんって見た目は軽い感じなのに、凄く周りの人の事を考えて行動をするタイプなのね。言われた弥生さんも真面目な新城さんの様子に少し驚いてるみたい。
「抱かせてもらいましょうよ、弥生さん。」
きっと……この赤ちゃんに触れる事で、弥生さんの中で何かが変わってくれるんじゃないかって私も思う。
「本当に、私がこの子を抱いていいのですか?」
「ああ、弥生に抱いて欲しいんだ。」
新城さんの腕からそっと赤ちゃんを受け取り、優しく抱いた弥生さん。長身の弥生さんが赤ちゃんを抱くと、とても小さく見える。
……でも、もしも。もしも弥生さんがお父さんになるとしたら、こんな感じなのかしらね。
「新城、この赤ん坊の名前を教えて下さい。」
「名前?実花だけど?」
名前を聞いた弥生さんは赤ちゃんの顔をジッと見つめている。いったい、どうしたのかしら?
「実花さん、ですか。実花さん、お父さんに似なくてよかったですね。目鼻立ちがハナさんそっくりで美人間違いなしです。」
「どういう意味だよ……」