Don't let me go, Prince!


「渚に私たちの子供を産んで欲しいんです。私は頼りない夫かもしれませんが、やっと渚との子を育てたいと思えるようになったんです。」

 弥生さんは頼りなくなんてない、私にはもったいないほど素敵な旦那様よ。あれだけ辛い過去を乗り越えて、こうして子供を望んでくれる。

「もちろんよ、私も弥生さんの子が欲しい。弥生さんによく似た可愛い子……を。」

「渚、これ以上そんな可愛い事を言うのは止めて下さい。せっかく優しく愛したいのに、抑えられなくなりますから。」

 そう言って弥生さんは私の浴衣を全て取り払い、自分も浴衣と傷跡を隠すためのシャツを脱いだ。

「優しくなんてしなくてもいいの。弥生さんに思う存分愛されたいから。」

 優しくしてくれるのも嫌いじゃないけれど、今は弥生さんに情熱的に抱かれたい。貴方のくれる愛情の全てを全身で受け止めたいのよ。

「本当に、貴女という人は……!」

 そう言って少しだけ乱暴に触れてくる弥生さんだったけれど、すぐにいつもの優しい手つきに代わる。
 ……ほら、この冷たい手のひらが私の身体の隅々まで触れて、そして私は誰よりも深く弥生さんに愛されるの。

「本当にいいですか?」

「ええ、お願い。ふふふ、もし赤ちゃんが出来たらハネムーンベビーね。」

 いつもは避妊具をつけていた弥生さんが、今日は何もつけずに私の中へ。そのままゆっくりと私を揺らしていく。

「はっ……渚の中、とても暖かくてとろとろで気持ちが良いです。本当に中に……いいんですね?」

 彼の言葉に私は必死で頷くことしか出来ず、私は体内の奥深くで彼の精を受け止めたのだった。


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