Don't let me go, Prince!
おかしな夫婦関係の進め方
「早くバスルームで着替えて来てはどうですか?そのパジャマの下には何もつけていないのでしょう?」
下着の入った袋を持ってどうしようか迷っていると、弥生さんから急かされる。ここでオロオロしている姿を見られるのも悔しいから、私は何てこと無いってフリをしてバスルームへと入って行った。
諦めて紙袋を開けて手を突っ込んでみると、何やらわさわさとした感触……これってもしかして?この中には私が想像もしなかったタイプの下着が入っているような気がする。
ゆっくり取り出してみると、これがブラなのかショーツなのかも分からないようなフリルだらけの下着が出てくる。
これは総レースのブラトップ……そして、ここまで付けなくてもいいだろうという量のフリルパンツ。何かの冗談だろうと思い他の下着も取り出してみたが、同じように白のフリルだらけの、かなり露出の少ない下着ばかりだった。
こんな可愛らしい下着を、どちらかと言えばセクシー系に近いタイプの……しかももうすぐ三十路の私に着ろと言っているのだろうか?
「弥生さん!あなた私の容姿がどう見えているの?セクシーな下着を頼んだのに、こんな可愛らしい下着ばかり選んでくるなんて!わざと似合わない様なものばかりを選んだの!?」
リビングに戻り、下着を片手に弥生さんを責める。
もっと自分に似合う下着を期待していただけに、予想外のものばかりで苛ついてしまう。もう少し私の事を分かってくれてると思っていたのに!
「私が店員と選んだのですが、渚は何が気に入らなかったのですか?」
不思議そうな顔をして聞いてくる弥生さん。想像すれば似合うかに合わないかくらい分かるでしょう?
「店員になんて言って選んだのよ?私の容姿を話せば、こんな下着を選んで持って来るとは思えないんだけど?」
背が高くて顔も美人系な方だと思うのよ。こんな可愛いらしい下着を薦められたことなんていままで一度だってありはしなかったわ!
「とても可愛いらしい妻だと説明しました。明るく活発でそして我が儘。私より背が低くて丸まって眠る姿が小動物のようだと。」