Don't let me go, Prince!
私は彼に自分を頼って欲しかった。確かに私は何も出来ない女だけれど、傍で彼を支える事だけでもしたかったのよ。
でも、やはり彼は「うん」とは言ってはくれなかった。
「私はまだ渚に隠していることが幾つもあります。その全てを私が話す事が出来て、渚が受け入れてくれる時が来たら……その時は一緒に来て欲しい。」
やはり今の関係ではまだ駄目なのね。でも弥生さんの言い方だといつかは話してくれるつもりのようだし。
きっともっと二人の事を分かり合える日が来るはず。
「分かったわ。私が良い子で待てたら、弥生さんからご褒美が貰えるのかしら?」
にっこり微笑んで弥生さんを揶揄ってみる。ふふふ、真面目にお土産を買ってきてくれたりするかもね?
「ご褒美が貰いたくなるのは私の方かもしれません。私が頑張れたら……もう一度、渚の事を抱かせてもらえませんか?また、泣かせてしまうかもしれませんが。」
「な、泣いてなんかいないわよ!ご褒美がそんな事なんて、弥生さんのスケベ!」
……本当は泣かされたけれど。あんなに何度も深く求められては私の身体の方がおかしくなってしまうのよ。
「そうですか。確かに渚の気持ちを考えずに言ってしまいました。すみません。」
真面目な彼は私が本気で拒否をしていると勘違いしてしまった様子。
そうじゃない、嫌な訳じゃないの。そんな風に直接的に求められて、テレてるんだって分かってよ。
「……今度はちょっとだけ手加減してよね?」
私は赤くなる顔を俯いて隠してそれだけを彼に伝えた。弥生さんはその言葉を聞いて優しく私を抱きしめてくれた。
「優しく触れると、約束します。」
その夜は弥生さんから何度か優しい口付けを受け取って、2人抱きしめ合って眠った。彼の指先が髪に触れるたびにくすぐったくて、幸せな気持ちだけが溢れてくるようだった。