Don't let me go, Prince!
「《《お義父さん達》》?それって……」
まだ会ったことの無い異母弟さんや継母に会って欲しいという事なのだろうか?私の事をそこまで信頼してくれたと思っていいの?
それにしても、弥生さんがあの屋敷を出るには他の家族の許可もいる事という事なのかしらね。まだ彼の家族の事を良く知らないから、私には何も言えないけれど。
「父と父の妻、そして神無。みんなにきちんと話しておきたいし知って欲しいんです。私が新しい人生を共にすると決めた渚の事を。」
「……私は貴方の隣にいることしか出来ないけれど、それでいいのならば。」
視界が揺れる。瞳に溜まった涙がこぼれ落ちそうになるのをぐっとこらえる。
私に出来ることなんてそんなに有りはしないのに、こんなに私の事を必要としてくれる。
「それで充分です。」
私の返事に満足そうに頷く弥生さん。貴方のそんな顔が見れるのならば私も頑張らなくちゃね。
「緊張……するわね。どんな方たちなの?」
「継母はさほど私に興味はないので、渚に何か言って来ることは無いと思います。神無は……悪い男ではないのですが、昔から少し悪戯好きではありますね。」
悪戯好き?真面目な弥生さんからは想像しにくい弟さんなのね。私が心配していた継母との関係はさほど問題なさそうで良かった。
「分かったわ。私も出来ることを頑張るから、弥生さんも私にして欲しいことがあったらちゃんと今日みたいに話してね?」
そう言って、弥生さんに瞳をしっかり見てニッコリと微笑んで見せる。
「キャッ……!」
いきなり弥生さんから身体を抱き上げられて、簡単にソファーからベッドへと移動させられる。