Don't let me go, Prince!
何があっても貴方のそばに
次の休日、弥生さんは起きて朝食を取ると「一度屋敷に戻って車を取ってきます」と言って早い時間に部屋を出て行った。
前回一人の時は電車で行ったようだったけれど、今回は私も一緒だからと車を取りに行った。
私も一緒に行くと言ったけれど、「ゆっくり準備していなさい」と置いていかれてしまった。
確かにお義父さん達に会うかと思うとそれなりに緊張する。弥生さんが前日のうちに用意してくれていたワンピースを着て、派手にならないように気を使いながら化粧をする。
私の所為で弥生さんが悪く言われるようなことがあってはいけないもの。
私の準備が終わりスマホを覗くと同時に部屋の鍵を開ける音がする。
私はスマホを置いて急いで弥生さんの元へと向かう。
私が傍に寄れば弥生さんはポケットからネックレスを取り出してそっと首にかけてくれる。
「可愛いネックレスね。このワンピースと合っていて、とても嬉しい……」
小さな花の飾りのネックレス。これも私の為に弥生さんが選んできてくれたのだろうか?
「ええ、私もそう思ってつい買ってしまったのです。渚が喜んでくれて良かった。もう準備が出来ているのでしたら、行きましょうか?」
「今、バッグを持ってくるわ。」
私はベッドに置きっぱなしだったスマホをバッグに入れて、もう一度鏡を見てから彼の傍に戻る。
鏡に映った私の首でキラリとネックレスが光って嬉しくなる。
エレベータで一階まで降りて、ホテルの外へ。 ちょっとだけ久しぶりの外の景色に何だかワクワクしてくるのは何故かしらね。
「渚に今まで窮屈な思いをさせてしまった事は、申し訳なく思っています。あの時……渚が去っていくのを止めるにはどうしたらいいのか私には分からなくて。」
外の空気を喜ぶ私を見て申し訳なさそうに謝る弥生さん。貴方がそんな顔をする必要なんて無いのにね。
「弥生さんが謝る必要は無いわ、私だって本当は弥生さんに迎えに来て貰いたかったんだもの。来てくれて……本当は嬉しかったのよ?」