―番外編―皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします

「ルーシーさま? どうしましたか? お顔が赤いですよ?」


心配そうなヘンリーを前に、ハッと両手で顔を隠した。


「だ、だってヘンリーが、変なこと言うから」


なんて言ったらいいからわからなくて、とりあえず隠すように俯いて。膝の上レースをつまんで、擦り合わせる。汚れてもいないのに、ゴシゴシと。

じゃないとなんだか落ち着かないの。


「だって、だって、ヘンリーはルーシーを守ってくれるっていうことでしょ? それを聞いたら、とっても嬉しくて⋯⋯ドキドキして⋯⋯」


そして、青いドレスのフリルのついた胸元を掴んで、ヘンリーに訴えた。恥ずかしいけれど、言わないともっと苦しくなりそうで。

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