―番外編―皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします

「ルーシー様」


ポーっと見惚れていると、彼は靴を履かせてくれたあと、そっと長いまつ毛を上げた。

とても優しい眼差し。


「なに? ヘンリー」


すると、彼の大きな手が、膝の上にあった私の手を両手でそっと掴んだ。


「僕たちの立場は、その本のお話とは逆になってしまいますが⋯⋯ルーシー様がもう少し大きくなったら、あなたのための靴を誂えて、あなたのもとに、大切な申し出に伺います」

唐突によくわからないことを言い出したけれど、手からは優しい思いがじんわりと伝わって、不思議な気持ちが伝染してくる。

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