―番外編―皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします
えぴろうぐ
「ねぇ、お母さまはどう思う?」
その夜のお母さまのお部屋。
サリーが湯汲みを終えた私の髪を梳いている横で、
アランに授乳をしているお母さまが、今日の出来事をニコニコと聞いてくれていた。
「そうね、素敵なお話しだったらいいな、って思うわ」
お母さまは、とっても嬉しそうに顔を輝かせたけれど、サリーはなぜだかそわそわとドアの方を気にしはじめた。
「でもね、ルーシー?」
お母さまが裸眼の私とドレッサーの鏡越しに視線を合わせてきた。右目だけ、ぼんやりするのは昔からだ。それはお父さまもお母さまもちゃんと知っている。