―番外編―皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします
「ルーシー様、そろそろ出てきたらどうですか?」
わっ! いつの間にかこっちを見てた!
本当はもう少し心の準備したかったけど、しょうがない。
私はあらかじめ用意してきた絵本を背中から取り出して、おずおずと木陰から姿を見せる。
この瞬間はいつもハラハラする。
「⋯⋯ヘンリー、今日も一緒に本を読んでもいい?」
「もちろんいいですよ。あなたが来るのを待ってました」
手招きをしながら、ヘンリーはいつものようにニッコリと柔らかく微笑んでくれる。はぁ、よかった。
お気に入りの空色のドレスを握りしめながら、噴水にじりじり近づいて、ピョンと彼の隣に座る。