―番外編―皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします
「そんなこと、ありませんよ。ルーシー様。読書は自分の好きな本を読めばいいのです」
しかし、そんなことはなく。ヘンリーの大きな手が、私の頭にポンポンと触れる。
「⋯⋯でも、ヘンリーはいつもとっても難しそうな本を読んでいるわ。みんなすごいって言ってるわよ」
「そんなことないですよ」
そう言ってるけれど、彼は私にはサッパリわからない。小さい文字が詰まった、難しい本を読むの。
それに、サリーはよくヘンリーのことを「ゆーりょーぶっけん」って言ってる。
意味はわからないけれど、それもすごいことなんでしよ?
なのに、彼はいつも謙虚な姿勢を崩さない