突然の夕立、びしょ濡れの先輩と雨宿り
6.雨の心配はなさそう
生徒玄関に行くと、みんな急いで帰宅しようという雰囲気じゃない。
外は薄い雲が広がってるだけで、雨の心配はなさそう。
それを見て、胸をなで下ろした生徒たちはゆっくり下校していく。
校門を出た道路を、左へ曲がって歩いてく生徒が多い。
右に曲がってバス停へ向かう生徒は私だけみたいで、ちょっと心細い。
他の学年の生徒も周囲にいないので、一年生は私だけかな?
などと考えながら歩いてると、弱い風が湿度を含んでるように感じられた。
長い髪の毛先を手で押さえ、私は空を見上げる。
「えっ、うそ……」
垂直に発達した積雲、圏界面に達する巻雲が水平に広がっている。
全形が朝顔状や鉄床状で、雲底が乱層雲のような形になっていた。
「今朝のテレビは、晴天で降水確率0パーセントだって言ってたのに……」
私は立ち止まり、目前の大きな積乱雲を見つめてる……