突然の夕立、びしょ濡れの先輩と雨宿り
7.とりあえず走れ!
「とりあえず走れぇぇ~!」
歩道のアスファルトを力強く蹴り出し、スタートダッシュ。
中学生の時に鍛えた陸上部の走りは伊達じゃないよ!
力強い走りは、今でも健在なはず!
……だった。
気持ちだけは……
腰まで長い髪の毛先、短いスカート丈。
胸元まで開いた半袖ブラウスに、着崩した制服。
私はすっかり、陸上選手とは無縁な女子高生になっていた。
「夕立なんてキライだぁ~!」
無意味に叫びながら、私は走る。
鞄を持つ手に力を込めてるけど、あまり重たくない。
中身は勉強と関係のない物ばかりだけど、とりあえず必要。
びしょ濡れになるか、ずぶ濡れになるか、しっとり濡れるかの瀬戸際なのにっ!
「私は何を考えてるの~!」
自分に怒ってもしかたない、今は全力で走れ!
全力で……走れ……
が、無理な足だって忘れてた……