突然の夕立、びしょ濡れの先輩と雨宿り
8.行っちゃった・・・
「行っちゃった……」
古傷が痛むまで頑張ったのに、ガッカリだよ。
信号が青になっても放心状態。
チカチカと点滅し始めた信号を見て、私は慌てて横断歩道を渡る。
バス停は目の前だけど、疲れてグッタリ。
痛めた足を少し引きずる感じで歩き進み、目的のバス停に到着した。
「かよい慣れた道だけど、いつもより遠く感じたよ……」
バス停のすぐ横に、雨風を凌げるスペースがある。
横長のベンチ椅子は、大人が三人ほど座れる大きさ。
少し茶色な半透明のアクリル版に被われ、外から中は見づらい感じ。
車道に面した部分は大きく開いてて、すぐバスに乗り込める作りになってる。
本当は、早くこの場所に到着して、雨風を横目にしながら帰りのバスを待つ予定だったのに……
びしょ濡れまではいかなかったけど、制服は濡れてシットリしてる。
「次のバスがくるまで、待つしかないわね……」
ひとり言を呟きながら、横長のベンチ椅子に腰をおろした瞬間。
激しい音と同時に、大きな雨粒が落ちてきた……