突然の夕立、びしょ濡れの先輩と雨宿り


 ベンチ椅子に座ったまま、足首にタイルを当てる。


 そのまま濡れた太股を拭き、スカートを少し手でつまみ上げて内股まで……

 腕の水分を取り除き、軽く顔に押し当てると不快な湿気は緩和された。


「ちょっとスッキリしたわ……」


 でも、目の前は降り続く雨で道路は濡れている。

 排水溝に向かって、路肩に溜まった水が流れ込んでいた。


 その様子を見ながら、髪の毛先にタオルを押し当てて水分を取り除く。


「あっ、そうだ!」


 タオルを首に掛け、鞄からメイク道具を取り出す。

 手鏡を見ながら、自分の顔をチェックする姿は誰にも見られたくない。

 足のつま先にローファーを引っ掛け、両足を交互にブラブラ揺らしながら唇にカラーリップを塗る。


 アクリル版に雨風を守られ、周囲には誰もいない。

 湿度が高くて不快な状況の中、バスを待つ私のもとに



 突然……






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