突然の夕立、びしょ濡れの先輩と雨宿り


「もしかして、渡会 夏美……」


「どうして、わかったんですか……先輩……」


 私が中学一年生だった時、陸上部の三年生から指導を受けていた。

 陸上部には男女の垣根がなく、同じ中距離の先輩から教わることに。

 会話を重ねていくうちに、笑顔が素敵なカッコイイ先輩に憧れていく。


 大会で記録を出す先輩は、推薦で高校に入学していった。

 追いかけるように、私も同じ高校を目標にしてたけど……

 先輩が高校へ入学して、私が二年生になった春。

 足を怪我して、陸上部を去ってしまう……


 この場所から、二つ先のバス停で降りた目前に高校がある。

 私が目標にしていた、共学の高校。

 その高校に通う先輩と一緒に、走ることができたらって夢を見てたけど……


 だから、自転車で通りかかったのか。この道は通学路?

 突然の夕立でびしょ濡れになり、このバス停を見つけて雨宿り?



 偶然が重なり、出会ってしまったみたい……





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