ラブ・ボイス
それって…
「いや、やっぱりこの話はナシで。」
「…会う。」
「は?」
まさか、というような顔でこっちを見る翔。
「なんで?」
「だって、会いたいんでしょ、わたしに。
会うよ。」
「まだ、ちゃんと説明してないのに…
危ないやつかもしれないだろ??」
慌てて翔が言う。
「会うったら会う!」
わたしはいつになく主張的だった。
なぜ、こんなにも、翔に反抗したくなるのか
自分でもわからなかった。
ただ、脳裏に浮かんでいたのはあの女の子の姿。
あの子と翔が、もし付き合っているなら。
私、負けたくない…。
「とにかく、会うから!
翔がなんて言っても会う!」
はっきりと、そう言い切ったわたしに
翔は諦めたように
「わかったよ…。
明日、紹介するから。」
項垂れながら言った。