ラブ・ボイス
しかし、次の日。


翔に連れてこられたのは予想もしなかった場所だった。


「ここ…なに?」


古ぼけたビルに、錆びついた階段。

いかにも、怪しい建物の前で、わたしは少し身震いした。


「ここは…俺のバイト先。」

「…え!?翔、バイトしてたの?」



顔を見上げると、恥ずかしそうに頷く翔。


嘘…翔って、バイトしてたんだ。


全然知らなかった。


でも、なんのバイト??


ていうか、なんでバイト先にわたしを連れてきたの??


「とにかく、いくぞ。」


「う、うん…。」


わたしは、恐る恐る翔の後ろ姿を追った。



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