ラブ・ボイス
「おはようございます!」
「お、おはようございます…」
翔の後に続いて挨拶をしながら入る。
なにやら大きな机がたくさん並んでいて、たくさんの人がその机に向かって忙しそうに作業をしている。
こっちには、だれも見向きもしない。
なんか、感じ悪いなぁ。
「ねぇ。ここって…」
そこへ、翔よりもさらにすらっと背が高い、
スーツを着た男性が現れた。
「君が美優さんか。」
にこり、と微笑む男性はあまりの美貌で、まるでドラマに出ている俳優のよう。
こんな人、初めて出会ったかも。
「じゃあ、とりあえず、もうすぐ本番だから。」
「えっ!本番って…?」
不安に思い、翔を見上げる。
「八田プロデューサー、今日はまだ話を聞くだけのつもりで…」
「えっそうなのー?」
スーツを着た八田、と呼ばれた男性は困惑したようにわたしも見つめる。
「困ったなー。今日のチャンネル放送、もう予告済みなんだよ。今からコンテンツを変えるわけにもいかなくて。」
「ですが…」
「とりあえず、ワンフレーズ、歌ってもらえればそれでいいから」
ワンフレーズ…歌う…?
わたしが訳のわからなくなっている間も2人の間で話はどんどん進んでいく。