ラブ・ボイス


「おはようございます!」

「お、おはようございます…」


翔の後に続いて挨拶をしながら入る。

なにやら大きな机がたくさん並んでいて、たくさんの人がその机に向かって忙しそうに作業をしている。

こっちには、だれも見向きもしない。
なんか、感じ悪いなぁ。

「ねぇ。ここって…」


そこへ、翔よりもさらにすらっと背が高い、
スーツを着た男性が現れた。


「君が美優さんか。」


にこり、と微笑む男性はあまりの美貌で、まるでドラマに出ている俳優のよう。


こんな人、初めて出会ったかも。



「じゃあ、とりあえず、もうすぐ本番だから。」

「えっ!本番って…?」


不安に思い、翔を見上げる。


「八田プロデューサー、今日はまだ話を聞くだけのつもりで…」

「えっそうなのー?」


スーツを着た八田、と呼ばれた男性は困惑したようにわたしも見つめる。


「困ったなー。今日のチャンネル放送、もう予告済みなんだよ。今からコンテンツを変えるわけにもいかなくて。」


「ですが…」


「とりあえず、ワンフレーズ、歌ってもらえればそれでいいから」


ワンフレーズ…歌う…?


わたしが訳のわからなくなっている間も2人の間で話はどんどん進んでいく。


< 13 / 28 >

この作品をシェア

pagetop