ラブ・ボイス
新しい制服はまだぶかぶかで、鏡の前に立った私はあまりに幼くて、ショックだった。
「いいじゃん。似合うよ。」
と、翔はさらりと言う。
「そんなことない…。」
いじけていると、ニヤリと余裕の笑みを浮かべて、翔が近づく。
「じゃあ、前髪こうしてさ…」
翔の大きな手がわたしの前髪にふわっと触れる。思わず、ドキッとしてしまうわたし。
「や、やめてよ…」
「いいだろ、ほら。できた。」
前髪を斜めにおろしたわたしの姿は、たしかにさっきよりは少しは大人っぽくみえる。
翔ってどうしてこんなに、オシャレなんだろう。同い年で、隣の家同士で、まるで同じ生活をしてきたはずなのに。
なんだかもう、大人の世界を知っているかのようだ。