ルミナス~双子の王女と7人の騎士団長~
さりげなく顎を掴んでいた手を振り払い、少しだけ距離をとる。





「ルチア様には言うけど、俺って騎士団長の中でも体力が壊滅的になくてさ〜。

゛こういう事゛でしか、国を守れないんだよね。」



「゛こういう事゛?」




いつも軽薄な笑みを浮かべている彼が、初めて表情を変えるところを見てしまった。



仮面の一部が剥がれたように。



「グロスター家はこの町の中では、1番と言えるほどの権力者で、あまりいい噂がなかった。


例えば、一般市民から金銭を横領しているとか......ね?

それを解決するのに、俺は武力で圧倒するのは苦手だからここを使うしかないんだよね。」



彼は、人差し指を自身のこめかみ辺りをトントンと指す。
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