フォンダンショコラな恋人
それは今後ぐちゃぐちゃ言ったら、一銭ももらえないことになるからな?という倉橋の念押しだ。

「それは仮の話ですか?」
「はい」

「では弁護人は仮の話は差し控えてください。この件に関しての発言は何かありますか?」
「いいえ」

けれど、原告の男が真っ青になって血の気が失せているのを倉橋は見た。

今回の件に関係ないと裁判官は言ったが、法廷での発言は全て記録される。
今の倉橋の発言も、だ。

もう男は二度と訴える、などということはできないはずだ。
二度と宝条にも危害は加えさせない。


< 105 / 231 >

この作品をシェア

pagetop