フォンダンショコラな恋人
「翠咲……」
「んっ……」
唇が重なる。

翠咲の口の中に倉橋の舌が遠慮なく入ってきて、緩くかきまわされると甘く声が漏れそうになる。

また……っ!

翠咲は息が苦しくなって、倉橋を軽く叩く。
倉橋がそっと翠咲を離した頃には、翠咲は息も絶え絶えだ。

「あんな奴に笑いかけるなよ。飲み物とか持ってこさせるな。こんな可愛い浴衣姿とか……見せるなよ」
低い声で耳元で、淡々と告げられる。

「……っ! なんなのよ! なんでキスなんかするのよ。なんで、こんな風に抱きしめるの!? 自分だって女子に囲まれていたくせに、なんなのよっ」

「言っただろう。僕は翠咲が好きだって。君にしか興味はない」

知らないわよっ……。

そう言い返そうと思って翠咲は動きを止める。
……ん?
ち、ちょっと待って、この人のこの行動って……。

「倉橋先生……」
「陽平」
< 117 / 231 >

この作品をシェア

pagetop