フォンダンショコラな恋人
冷静に訂正される。
翠咲も素直に言い直した。

「陽平さん……、あの、私たちってもしかして、付き合ってる……の?」

「それ以外の何なんだ?」
当然のように返されたその返事。

翠咲は力が抜けそうになる。
だから、あなたのそういうところ!

「名前を呼ぶだけでドキドキするからダメって、もう付き合ってるんじゃないのか? 僕のこと嫌いじゃないだろう。キスも何度もしてるだろ」

もう……っ!
翠咲はきゅっと倉橋の背中に手を回した。
そうして、服をぎゅうっと掴む。

「それとも、まだ黙秘するか?」
にっ、と倉橋はとんでもなく綺麗に翠咲に微笑んだ。

「僕の経験からすると、黙秘する被告人ていうのは有罪の可能性が高いんだけどな」

倉橋はくすくす笑って、先程の強引な感じではなく、優しく翠咲を抱きしめる。

もう……いいや。
適うわけがない。

「有罪だとどうなるんですか?」
「禁固刑だよ。逃がさないと言っただろう」

言葉の内容の割にはとんでもなく甘い表情で、見たことのないような顔で。
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