フォンダンショコラな恋人
「重いだろ? それに浴衣じゃ持つのも大変だしな」
「最初から、言ってくださいよぅ……」
恥ずかしい思いをした翠咲は、つい恨みがましい顔になってしまう。
「いや、まさかお手するとは……」
思い出したのか、まだ、倉橋はくすくす笑っている。
「僕は本当に言葉が足りなくて。けど、お手……」
よく分かった。笑い上戸だこの人。
けれど、おかげで緊張せずにすんだ。
翠咲の荷物を受け取って、そのまま手を繋いだ倉橋はタクシーに向かって手を上げる。
それを見て翠咲はどきん、とした。
あ、やっぱり行くんだ。
そう言えば先程は、禁固刑とか胡乱なことを言っていたような気がするが。
「新陽町まで」
「はい」
運転手は車を出す。
行先を告げて、初めて翠咲は倉橋の住んでいる所を知った。
「あ、新陽町なんですか?」
「そう会社が二本橋だからね。電車で4駅は近いだろう」
「そうなんですね。二本橋だったんだ。うちの会社からも近かったんですね」
「最初から、言ってくださいよぅ……」
恥ずかしい思いをした翠咲は、つい恨みがましい顔になってしまう。
「いや、まさかお手するとは……」
思い出したのか、まだ、倉橋はくすくす笑っている。
「僕は本当に言葉が足りなくて。けど、お手……」
よく分かった。笑い上戸だこの人。
けれど、おかげで緊張せずにすんだ。
翠咲の荷物を受け取って、そのまま手を繋いだ倉橋はタクシーに向かって手を上げる。
それを見て翠咲はどきん、とした。
あ、やっぱり行くんだ。
そう言えば先程は、禁固刑とか胡乱なことを言っていたような気がするが。
「新陽町まで」
「はい」
運転手は車を出す。
行先を告げて、初めて翠咲は倉橋の住んでいる所を知った。
「あ、新陽町なんですか?」
「そう会社が二本橋だからね。電車で4駅は近いだろう」
「そうなんですね。二本橋だったんだ。うちの会社からも近かったんですね」